■ 読書感想95 柿崎真子「音のはじまり」
存在からゆらゆらと湧き出る音。
息を詰めて、静寂の中に耳を澄ませ目から音を聞く。
幾多のシーンから、存在から、大地から、光から同時多発的に空気が揺れ、高い音を出しながらそれは昇る。
シーン一つ一つは音符で、厳かな起伏や荘厳な抑揚があり、それでも音楽は静かに流れる。
写真を支える存在の背後にある霊感を掴む。
意識とも無意識ともつかない位相に霊性は潜む。
写真に意識を集中する。
息を殺し、じっと視線を写真の中心に据える。
すると動き出すのだ、その写真に一番大切なエネルギーが。
音は実際にそこにあった微かな空気の揺れだ。
それは繊細で壊れやすいはずなのに、柿崎さんの呼吸はその震えをはっきりと掴まえた。
柿崎真子「音のはじまり」 / 2025年10月31日発行/ 蒼穹舎

