■ 読書感想03  成合明彦「松江風景」

成合さんの目は光に揺れ、瞳の奥は鈍く痛んでいる。
風景に対して誠実で、成合さん自身熟成の時期を終え、壮年は枯れ始める。
遊行期に入り、詩を遊ぶように風景と遊ぶ。
淡く濁った世界は澄んでいて、灰を塗したように綺麗だ。

松江に行ったことがあります。
でも僕の感じた松江と成合さんの松江は少し違うようです。
成合さんの呼吸と松江の空気の交合は、僕の知っている松江より幾分透き通っています。

きっと僕より成合さんの方が、自分を燃やしてきたのでしょう。

 

成合明彦「松江風景」  /  2008年10月27日発行  /  蒼穹舎