■ 読書感想04 小栗昌子「百年のひまわり」
黒が印象的でした。
燃やしてそのまま冷えたような黒。
燃えないで残った黒。
きっと小栗さんも本に登場する彼らも自分たちの人生をその時までには燃やし切らなかったのではないでしょうか。
そして何処かのタイミングで一度冷えた。
そしてまたゆっくり燃えだした。
僕はこの本に2005年の秋に出会いました。
ページを捲るたび、僕は息を殺し、束の間夢を見ました。
そしてその夢は僕に強い余韻を残し、その余韻には官能さえ含まれました。
火は物語を焼き、何かを灰にしながら、きっと僕にも火を点けました。
僕も僕自身を燃やし、何かを灰にするのでしょう。
小栗昌子「百年のひまわり」 / 2005年11月1日発行 / ビジュアルアーツ