■ 読書感想07  元田敬三「青い水」

寂しかった。
寂しくて憂鬱だった。
多分孤独だったから。
それを掻き消すように光を焚いた。
ストロボで寂しさのディテイルは消えるけど、セルが結合するみたいに寂寥感は塊となって元田さんを襲った。

淡々とするには呼吸が苛烈だった。
神経質で負けず嫌い。

元田さんは寂しかった。

元田さんに写真を教えてもらった。
偉ぶらないから好きだった。
元田さんの写真の魅力は歳を重ねるほど痛感した。

元田さんの寂しさを知った時、
元田さんを生(なま)の人間だと理解できた。

やがて僕の中に元田さんの存在が生まれた。
それは寂しさみたいなもので、
僕は優しい気持ちになった。

 

元田敬三「青い水」  /  2001年2月25日発行  /  ワイズ出版