■ 読書感想23  小島一郎「hysteric Eleven 小島一郎」

意識は遠く昔に、体感は現在より近く。

手に届く程近い世界が手の届かない遠い昔である不思議。
遠い昔の世界の手触りが、現在より生々しい不思議。

何故こんなにも真っ直ぐに、小島一郎の写した世界に僕は立つのであろう?
何故手触りがこんなにも生々しく感覚されるのか?

小島一郎はきっと皮膚の中に津軽を宿していたのだろう。
津軽の風や匂い、雪や海が、小島一郎の呼吸そのものだった。

津軽は完全に小島一郎に馴染み、
小島一郎は津軽に一致していた。

吐く息が風土であること。
写真を撮る極意かもしれない。

 

小島一郎「hysteric Eleven 小島一郎」  /  2004年5月31日発行  /  ヒステリックグラマー