■ 読書感想24  森山大道「COLOR」

昏い。
先を見通せない昏さ。
森山さんの若さは宙空を彷徨う。
見開いた眼の力は有り余っていて、でもストロボは手前だけ照らす。

昏さに眼が寄り添うと、先を見通す力はある。
森山さんはきっと本能を肯定している。
本能は不条理として表れるけど、その不条理を受け入れて、カッと眼を開ける。

陰鬱と恍惚。

世界を押し拡げ、また閉じる。
自分を燃やした分だけ、少しだけ進む。

 

森山大道「COLOR」  /  1993年7月10日発行  /  蒼穹舎