■ 読書感想26  中村ハルコ「光の音」

 

「光の音」

透明。
植物に光が当たり風に揺れ、
発光が震えて音を奏でる。

シャープな誠実と優しい憂い。
ページを捲る度、目頭が火照り魂が踊る。
胸がときめいて、その刹那感涙している。

呼吸は淡く濃密で、素朴な生活を慈しむ。
綺麗過ぎる世界に住み、地に根を張る。
土地を讃え、必要以上を希わない。

生きることの素朴な愛、愛。

 

「海からの贈り物」

生の中の死。

月が満ち産声。

オレンジ色の羊水と潮の満ち引き。

命とさよならの仕組みを思い、
でも終わらない宇宙。

消えていくこと。

 

中村ハルコ「光の音」  /  2008年8月24日発行  /  フォルマーレ・ラ・ルーチェ