■ 読書感想33 多々良栄里「さようであるならば」
手付かずの昏さ。
光。
神さまというのはそこかしこにいる、
と不思議と思った。
八百万神。
花に木に人に動物に、
森羅万象に光が当たる度、
神さまを感じる気がするのです。
少女が笑い、風が吹き抜け、川は流れ、
新緑が揺れ、少年が平和だと謳い、
花が咲く。
その全ての営みと空気。
神さまとはいつも当たり前にある空気なのではないだろうか?
多々良さんは眼だと思う。
物それ自体を露にするのは眼で、
眼を持つ人は今もすぐそこに神さまが宿ることを知っている。
多々良栄里「さようであるならば」 / 2012年11月24日発行 / 蒼穹舎