■ 読書感想34  元田敬三「轟」

重さから自由で、でも重みがある。

フワッと重さから解き放たれた存在たちを元田さんの視線が射抜き、
被写体たちは写真に磔にされ、それでも尚生きている。

写真の容器に柔らかなまま生け捕られた存在は、生け捕られたことにすら気付かないくらい柔らかなままだ。

元田さんは生み出している訳ではない。
複製もしていない。

元田さんは写実している。

 

元田敬三「轟」  /  2019年6月16日発行  /  蒼穹舎