■ 読書感想43  金村修「Happiness is a Red before Exploding」

生臭いのに渇いている。
皮膚が湿り、中心が渇く。

融和がないわけではない。
本能を受け入れている。

如才なさを演じ、欲望を肯定する。

外部の浸透を受け、それを受け流す。

内臓が渇くのは泉が湧かないから。
愛がないわけではない、ただ愛の形が違うのだ。

両生類を思った。
深さに潜り渇きを歩く。
深さに潜り見たかもしれない。
形の違う心を。

憎んでいないとは言わない。
ただ、溢れる臓液が染み出して、臓器がヌルリと蠢くのが気がかりだった。

 

金村修「Happiness is a Red before Exploding」  /  2000年11月10日発行  /  ワイズ出版