■ 読書感想44 錦戸俊康「LOVE THY NEIGHBORS」
真っ直ぐな視線。
切り取る世界は透明で、被写体に親和と誠意がある。
世界の囁きへの傾聴は純朴で、力強い。
世界の囁きは衒いがない。
それは錦戸さんがpureだから。
世界は錦戸さんの為には、ない。
でもだから、切実にととのえる。
呼吸を、喘ぎを、囁きを。
海が鳴っている。
光は音を立て、雨は輝く。
人は笑い、魚が泳ぐ。
生きているもの、死んでいるもの、
全てのエネルギーが吹きこぼれる。
讃美歌を歌うのは、海でも光でもない。
ましてや空でも風でもない。
歌を歌っているのは溢れた一雫を掬う、
錦戸さん自身なのだ。
錦戸俊康「LOVE THY NEIGHBORS」 / 2019年7月31日発行 / GRAF Publishers