■ 読書感想54  清水コウ「深い闇は輝く光よ」

清水の内側に立ち籠めている重たい霧。

感じたように撮る、というより
感じたものを重たく受け止めていたこの頃。

夜明けは近いのに、中々明けない夜。
自分でもどうしたら光がやって来るか分からずに、健気に力なく笑う。

自分を作家だと思う。
でも同時に本当に作家なのかと疑う。

生から死を見ていて、得体の知れない闇に呑み込まれる。
光を見つけたと錯覚し、また闇に流される。

だから、闇の中の裸の存在に出会った。

清水が闇を好むのは消極的な理由だ。
闇から出られないから。

ただズブズブの憂鬱のこの時期に、
清水は目を凝らすのをやめなかった。
存在が一番存在を発揮するのは、何も見えない闇の中だと、知った。

闇から光を見る瞬間だった。
夜明けを自分で引き寄せた。

清水にとって世界は尚暗い。
でも何も見えないから力を手に入れた。

凝視は憂鬱を突破する。

 

清水コウ「深い闇は輝く光よ」  /  2019年4月1日発行  /  Masato Co.