■ 読書感想85  染谷學「ほうたれ」

明るさと暗さが分かれている。
強烈な自我と割合の高い無意識。
色気と毒気、そしてそこに射す光。

写真は染谷さんの毒の入った色気を明るみに出している。

染谷さんのもたらす官能は毒が入っていて、写真は染谷さん自身も気付かない、その毒が生成する甘美な世界の痕跡なのだ。

毒の分量は染谷さんにも未知数で、光を当ててみないとわからない。
染谷さんは色気の中に毒を調合する。
そしてその技術力が異常に高い。
染谷さんは何故技術を駆使するのか?
染谷さんの技術は何を隠す為のものか?

きっと染谷さんは自身の毒を本当はコントロール出来ていないのだ。
調合の技術を上げないと、その毒に自分が食べられてしまうのだと思う。

染谷さんはきっと写真がないと生きていけない。
光がないと、自分を量れないからだ。

 

染谷學「ほうたれ」  /  2022年4月4日発行  /  蒼穹舎